居酒屋 焦げ鍋

お通しは焦げました

※ネガティブ注意

ラ・ラ・ランドはハッピー… ※ネタバレ注意

映画を観るようになったのはここ最近で、

映画が面白くなったのもここ最近である。

 

そもそもミュージカルに関しては

オードリー・ヘプバーン観たさに観た『マイフェアレディ』で

観ていることが「しんどい」と感じてしまったため、

2004年の『オペラ座の怪人』を観るまでミュージカルは避けてきました。

後年ヘプバーンも触れていますが、

彼女も自分で歌が歌えず、あの映画の撮影は辛かったようです。

(オペラ座を観た直後はバトラーに熱を上げましたが、オシャレ雑誌に載ったただのオシャレなバトラーを観てひどくがっかりしたことを覚えていますね苦笑 闇を抱えるからこそ怪人は格好良いのです)

 

恋愛映画は大好物の分野で、

かつ『タイタニック』に並ぶアカデミー賞のノミネート、

友人たちの「面白かった」という声もチラチラ聞いており、

仕事終わりにコレド室町まで走りました。

あそこはいい感じに小奇麗で、かつ不自然に人工的で好きな場所です。

 

そう、『ラ・ラ・ランド』、観て参りました。

終わるころにはそれはもう、ひどい泣き顔になってました。

ネタバレ含む感想なので、観てない人は戻ってくださいね。

パンフも買ってないので好き勝手話します。閲覧は自己責任で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体的な感想としては、ミュージカルの可愛らしい部分が前面に出されており、

ほっこりしました。

特にラストも衝撃を受けず、流れのままのように思いました。(悲恋が恋愛映画のスタンダードだという考え方があるからですかね。『ポンヌフの恋人』とかだとラストに違和感しか感じません。)

他映画のオマージュが全く分からず、もう少し勉強しておきたかったですね。

その映画との繋がりとか分かればきっともっと面白かったでしょう。

 

さて、テーマとしては非常に人生での細かい部分にスポットが当てられています。

「そうであればよかった人生」。季節があたかもコミックのように表示されていたのも印象的で、「時の流れ」というのもテーマかな?という気もしましたが。

ラスト10分の走馬燈というか、「現実と並行的にあったかもしれない」未来ダイジェストがストーリー的にもミュージカル的にもメインになるところでしょう。

その他の場面で恋愛中の高揚感をダンスで表していたのが非常に効いてくる瞬間です。

恋愛をすると少なからず「すれ違い」が発生するので(というよりは他人に深く踏み込む時に発生しやすいですね)、「もしこうしていれば」も発生しやすくなります。

力強く、またあっけなく崩れ去ったりする危ういものはミュージカルに向いている気がします。(「友情」や「絆」なんかもそういう性質がありますよね。敢えて何とは言いませんが)

ミュージカルを挟みながらも、二人の人柄を観客がしっかりと理解し、また共感もしくは愛着を沸かせる表現が物語に厚みを持たせて良かったですね。おかげで大号泣です。

エマ・ストーンのチャーミングさが、シリアス展開をよりいっそう暗くさせる、またラストの再開シーンで彼女が”落ち着いてしまった”様子を際立たせる、そんな役割を果たしていました。素晴らしい。

 

結果の話をしてしまえば、これ、この上ないハッピーエンドだと思います。

何が切ないのかというと、「運命の相手」が「生涯の伴侶」でなかったことだけです。

そう、それだけ。

お互いに夢を持っている、また少なからずそれに惹かれた恋愛であれば最初はお互いの良い刺激になってお互いの才能・能力を伸ばしていきますが、その恋愛効果による成長期も頭打ちするです。お互いがお互いの足を引っ張ってしまうようになります。

ミアとセブは別れたけれども、ミアはセブのおかげでチャンスを掴んだしセブはミアのおかげで店名を変えるなど細かい拘りを捨てて成功しました。どちらも本気で相手を大切にしていたため生まれた成長、この人生を大きく変える(限りなく0に近いような夢を叶える)出会いは間違いなく互いに「運命の相手」だと言わざる得ないと思います。そして「別れ」なくして、最終的な”大女優”と”ジャズを生かす空間”は手に入らなかったでしょう。

「運命の相手」はよくも悪くも相手の人生を狂わします。そして役目が終わると、すっと姿を消してしまうのです。「運命の相手」は友人とも恋人ともまた違う、神様も知らなかった、むしろとんでもない”偶然”のようなものです。

ミアとセブはお互いの人生に影響だけを残して互いに去りました。

セブはオーデションを受けた後、ミアに大女優の道が開ける直前に。

ミアはラスト、二人が見つめあってほほ笑んだ瞬間、これからセブが彼女を忘れられるように最後の仕上げとして去りました。(店名やネオンのデザインといい、彼の心に彼女が常にいたと考えられます)

 

確かに切なくもありますが、二人は互いの「運命の相手」としては最高のものだったと思います。

なによりも互いにそう思えることなんてそうそうありません。

だから、これ以外の選択肢はない、ハッピーエンドなのです。

パラレルワールドが存在していたとしても二人が生涯ともにするエンドの存在こそ、限りなく0に近いものでしょう。必ず何かが二人を引き離していたでしょうから。

 

本当に好きな相手と結婚するというのは、世の人の夢の1つだと思いますがそのことが自分の何に影響するんでしょうかね。

人と恋愛する、というのは影響するということだと思います。

相手も大事ですが、自分あっての他人です。

安定や安心があなたにとって一番大切ならば、それを掴むことはあなたに何の気負いもさせません。最適なパートナーも明確な理想を持って探せるでしょう。

ただ、何かを無理していると感じているならば、恋愛の対象を、自分が求めているものを見直す必要があるんだと思います。

 

 

今夜もまとまりません。

 

映画っていいもんですねえ。

 まあアカデミー賞、作品賞取ったらびっくりでした。作曲賞と美術賞は納得ですが。