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※ネガティブ注意

「怪物はささやく」ネタバレ含む感想

最近観たい映画がないな~~と思っていたところに

twitterで「怪物はささやく」のPVが。

おお。これは観たい。

あらすじがなんかもう全てを語ってますが、暗そう。

暗い映画が好きなんです。

給料が入ったこともあり、ビールを一杯飲んでから観に行きました。

その感想です。

ネタバレ含むのでご注意を。

 

 

 

重い病気を患う母親リジーと二人で暮らす少年コナー。最近は悪夢にうなされ、また学校ではいじめられ疲れ果てているが、母親との時間がその疲労を癒す。

とある日、祖母がやって来て、どうやらリジーとコナーの今後についてリジーと言い争っているようだった。そして興奮したリジーは発作で倒れてしまい、常備薬を渡しつつもコナーはリジーを直視できなかった。

コナーの独自の世界は絵によって表現される。その晩も窓から見えるイチイの木とその風景を描いているだけだった。すると夢を見たようで、イチイの木は地面を割りながらその大きな身体を起こし、まるで絵本の中に出てくるような怪物の姿でコナーの前に現れる。そしてイチイの木の怪物は「3つの物語をお前に話す。しかし4つ目の物語はお前が話せ」と唐突にコナーと約束を結ぶ。12時7分であった。

3つの話が話される間にも、リジーは治療を受けながらやつれていく、どうしてもけんか腰の会話になってしまう祖母との関係、既にLAに別の家庭を持っている父と過ごす時間、学校、様々な事象がコナーを疲労させていく。

怪物の意図。物語を通じて、また最後の物語をコナーに話させることの目的はラストに分かる。

 

 

 

 

 

 

うろ覚えの箇所もあるかと思いますがご勘弁を。

間違ってたらそれはビールのせい。

 

 

 

 

 

 

これは少年が母親と離れる時を、そして母親の愛を、死んだとしても生き続ける愛を描いた話です。

”少年と大人の狭間”という表現がコナーに対して出てきましたが、どちらかというと”少年”であるが母親の死をきっかけに無理矢理”大人”にならざる得なくなる状況。蓄積された疲労と、愛する人を失う恐怖で自制心が効かなくなるコナーを癒す役目として、また母の喪失を受け入れる準備をさせるため、イチイの木の怪物は登場します。そしてラストで、自分の夢だと思っていたそのイチイの木の怪物が母も幼い頃会っていた、いうなれば母の創造物であり、自身を心配した母の愛の形であることをコナーは母親のスケッチブックから知るのです。

(リジーの死の前にイチイの木が「私も眠る時」と言っていたことから、木の怪物は母リジーの想像から生まれたと考えるのが自然かと)

そしてその事実はコナーの心に常に母がいる、生き続ける愛となるでしょう。(映画はここで終わっていた)

 

さて、今自分であらすじを書いて、再認識。

題材としては大好物な所なのですが

今一つ他の人におススメできない……。

映画じゃなくても良い、と感じてしまうのはなぜ?

その理由も書いていきます。

 

 

 

①物語がいいのはわかる!だがそれ特有の……

自分であらすじ書いてて、ああ面白そうだなって思うんですよ。

でも実際に映画を観て感じたことは「ああ、本が読みたい」ってことなんです。

理由の1つには恐らく小説のそのままの引用をしてるだろう箇所がところどころあるのですが、映画では展開が早くていまいちそれぞれの言葉の重みが足りなくなるというか、どれが本当に大切な言葉か分からなくなるんですね。読者に委ねる場所を敢えて視聴化すると混乱するということは、時々書籍から映画におこす時に起こりますが今回はそれが顕著に表れているなあ、という気がしました。

 

②音楽

一つ一つの音楽いいんですよ。でもなんとなくこの映画とそれぞれのシーンにあってないんです。実は音楽だけじゃないんですけど、この映画ところどころズレを感じるんです。アングル、編集、脚本……息があってないように感じる。私だけかなあ。訳も関係あるのかもしれません。

エンドロールでいきなりボーカルありの音楽が流れたことに超びびったりしたりね苦笑

 

③演技はどちらなんだろう

一部過剰じゃないかという演技があります。

男の子は雰囲気あるんですよ。でも意外とよく喋るので、どことなく内気な少年感が薄れます。そして母親の最後の時、荒い呼吸の演技がそれでいいのか……という気がしてしまった。(シリアスシーンなのに……)

 

 

端的に言えば、話がアップテンポで進み各セリフの重厚さが薄れ、シリアスな雰囲気に「シリアスな雰囲気だすぞ!!」って音楽が流れる。そして静かな死の迎えに関してはあまりにポップな、そんな演技が気になってしまう……。

そういうことです。

 

でもこんなにくどくど書いてるのは

「惜しい!もう少し何かが違えば大好きな映画なのに……」って気持ちが強いからです。

人の死や少年の痛々しい成長を描く場合にはとことん暗くした方がいいですね。

深夜の洋ドラ枠で観たらかなり楽しめたと思います。

映画という点に期待しすぎた私の落ち度もあります。反省。

 

この映画の面白いところに、イチイの木が語る物語がイラストで表現されるのです。

綺麗というか、なんというが最近の独創的な世界観を描いたゲームのPVのようなんですよ(この表現は褒めてますよ!)

なんとなく映画に馴染んでいるかは分かりませんが、そのシーン、好きなんです。

あといい所で言えば撮影場所。あまり長く写ることはないですが、じめじめとした雰囲気が出ていて良いです。冒頭のそれで「特大の暗さ」を要求してしまったところがありますがね。ははは。

夢が深層心理を表している、悪夢がコナーの真実であることって設定や、

”末永く幸せ”ではなく”末永く複雑”である、など

そういうところはもちろん好きでした。(小説そのままなのかな?)

 

 

まあ、いつも通りまとまりないですが、外が明るくなってきたので寝ますね。

私は悪夢を見ませんように。